2015年9月9日水曜日

追憶アメリカ9

ニューヨークの、まだ見ぬ友人にお土産をと思い、友人宅の最寄駅付近の小さな商店でビールを半ダース、会計時に口髭に白髪が交じる初老のマスターが商品をビニール袋に入れようとしたので、持ち運べる箱に入っているし近くなのでこのままでいいとジェスチャーを交え伝えると、嘘だろ、止めとけというような大袈裟な動きを目を見開きながらするので、本当に要らないからと、強引に裸のビールを持って店を出た。紆余曲折あって(追憶アメリカ5参照)、友人たちと落ち合うのだが、ニューヨーク在住の友人が、「それ、駄目ですよ」とビールに目線を落として言うのだ。聞けば、ニューヨークではアルコールは屋内で楽しむもので、むき出しで持っていると白い目で見られるらしい。路上で飲むなどもってのほか。なんの因果か無意識にワイルドサイドを歩いてしまった。
後日、その友人と東京で再会、路上での酒を静かに楽しんでいた。
©野鳥入門 All rights reserved.